世界史の「流れ」を掴む

このページは、東大世界史で求められる「歴史の大きな流れ」「転換点」「地域間の連動」を理解するために作成されました。個別の用語暗記に留まらず、なぜその出来事が起きたのか、そして世界にどのような影響を与えたのかを、インタラクティブな年表とチャートで探求しましょう。

古代

文明の誕生と大帝国の形成

人類が農耕・牧畜を開始し、都市を形成したことから古代史は始まります。各地で特色ある文明が誕生し、やがてそれらを統合する広域な「帝国」が出現しました。ローマ帝国や漢帝国のように、異なる地域を長期間統治するシステムが生まれ、後の世界の原型が作られた時代です。また、キリスト教や仏教といった普遍的な思想(世界宗教)が生まれたことも、この時代の大きな特徴です。

この時代の世界地図(紀元後2世紀頃)

ローマ帝国
漢帝国

ユーラシア大陸の西にローマ帝国、東に漢帝国が並び立ち、シルクロードによって間接的に結ばれていた時代。

時代の流れ

最重要の転換点

枢軸時代(前800年~前200年頃)

ドイツの哲学者ヤスパースが提唱した概念。中国では諸子百家、インドでは仏教、ギリシアでは哲学など、現代にまで続く人類の精神的な基礎が同時多発的に形成されました。

ローマと漢の平和

1-2世紀頃、ユーラシア大陸の東西でローマ帝国と後漢が安定した統治を実現。これによりシルクロード交易が活発化し、東西世界が間接的に結ばれました。

西の帝国

ローマ帝国

東の帝国

漢帝国

シルクロードによる間接的交流

中世

地域世界の深化とモンゴルの衝撃

古代帝国が崩壊・変容した後、各地域で独自の文化圏が深化。この時代を大きく揺るがしたのがモンゴル帝国です。ユーラシア大陸を覆う巨大帝国は、東西交流を空前の規模で活性化させ、後の世界の一体化を準備しました。

この時代の世界地図(13世紀後半)

モンゴル帝国

モンゴル帝国がユーラシア大陸の広範囲を覆い、東西交流が活発化した「パクス・モンゴリカ」の時代。

時代の流れ

最重要の転換点

イスラームの拡大

7世紀に成立したイスラームは、商業、学術、法を伴う巨大な文明圏を形成し、中世世界の中心の一つとなりました。

モンゴル帝国と「パクス・モンゴリカ」

13世紀、モンゴル帝国は駅伝制(ジャムチ)を整備し、陸路の安全を確保。人・モノ・情報(火薬、羅針盤等)の東西交流が劇的に進展しました。

変革前

各文明圏の分立

変革後

ユーラシアの一体化

地域連動チャート

「ある時代、ヨーロッパで起きていたことと、同じ時期の中国の状況は?」 東大世界史では、こうした地域間の連動性を問う問題が頻出します。以下のチャートで時代を選択し、各地域で何が起きていたかを視覚的に比較してみましょう。

近世

一体化する世界と主権国家の登場

大航海時代により地球規模のネットワークが初めて形成。「コロンビアン・エクスチェンジ」が起こり、世界の一体化が本格化。ヨーロッパでは主権国家体制が確立します。

この時代の世界地図(16世紀後半)

ヨーロッパ
→ 銀の流れ →

ヨーロッパ勢力が海洋に進出し、アメリカ大陸からの銀が世界を駆け巡る「銀の道」が形成された時代。

時代の流れ

最重要の転換点

大航海時代と価格革命

アメリカ大陸からの大量の銀の流入は、ヨーロッパで価格革命を引き起こし、商工業の発展と封建領主の没落を招きました。

主権国家体制の成立

1648年のウェストファリア条約は、近代国際関係の基本となる「主権国家体制」を確立しました。

変革前

普遍的権威
(教皇・皇帝)

変革後

主権国家の分立

近代

「西洋の優位」と国民国家の時代

産業革命と市民革命「二重革命」により、ヨーロッパは世界に圧倒的優位を確立。「帝国主義」の時代に突入し、二度の世界大戦で矛盾が爆発しました。

この時代の世界地図(1914年頃)

ヨーロッパ
→ 植民地化 →

ヨーロッパ列強がアフリカ・アジアの大部分を分割し、植民地帝国が最大版図に達した時代。

時代の流れ

最重要の転換点

二重革命(産業革命・市民革命)

経済の「産業革命」と政治の「市民革命」が、資本主義経済と国民国家という近代社会の2つの柱を確立しました。

第一次世界大戦とヴェルサイユ体制

帝国主義間の対立が頂点に達した総力戦。戦後のヴェルサイユ体制は新たな対立の火種を抱え、第二次世界大戦へと繋がっていきます。

現代

冷戦、脱植民地化、そしてグローバル化

第二次世界大戦後、世界は米ソによる「冷戦」の時代に。アジア・アフリカでは脱植民地化が加速。冷戦終結後は、多極化とグローバル化の時代へ移行し、新たな課題に直面しています。

この時代の世界地図(1960年代)

西側陣営 (米)
東側陣営 (ソ)
第三世界 (アジア・アフリカ)

世界が米国の西側陣営とソ連の東側陣営に二分され、アジア・アフリカで独立国が増加した時代。

時代の流れ

最重要の転換点

冷戦体制と第三世界の台頭

ヤルタ会談後の米ソ対立により冷戦体制が成立。同時に、アジア・アフリカ諸国が独立し「第三世界」として登場しました。

冷戦終結とグローバル化

1991年のソ連解体でイデオロギー対立は終わり、グローバル化が加速。しかし、新たな地域紛争や格差問題も生み出しています。

世界史の構造を理解する

知識を体系化し、論述問題に対応する応用力を養うために、歴史を3つの視点(縦軸・横軸・テーマ)から俯瞰します。タブをクリックして、視点を切り替えてみましょう。

各時代の通史的展開

古代:農業革命 → 都市国家 → 普遍帝国(ローマ、漢)の形成と崩壊。

中世:地域世界の深化(キリスト教世界、イスラーム世界)とモンゴルによる再統合。

近世:大航海時代による世界の一体化と、ヨーロッパにおける主権国家体制の確立。

近代:二重革命によるヨーロッパの覇権確立と帝国主義。

現代:二度の世界大戦と冷戦体制。脱植民地化とグローバル化の進展。